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コンサル出版!『著者と大学教授に資格は要らない!』第180号

配信日:2011年01月12日

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┃  ┃      第180号【2011/01/12】    ┃  ┃
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《今週のCONTENTS》

1.『著者と大学教授に資格は要らない!』

2.編集後記

3.本多泰輔氏による出版プロデュースのご案内

4.新しいセミナーのカタチ 【ウェブセミナー】のご案内

………………………………………………………………………………

あけましておめでとうございます。
今年もまた、より一層よろしくお願いいたします。
だんだん冬の寒さが、身に堪えるようになってきた本多泰輔です。

今年のニュースで気になったのは、ネットで頼んだおせち料理が見
本と全然違ってたということで大騒ぎってやつでした。

なぜ気になったかというと、それが「たった」500件の注文だっ
たからです。

たった500件の品がつくれなかった、という業者の不手際ではな
くて(まあ、それもしょぼい話ではありますが)、500件の注文
ということは、不良品の数も当然ながらMAXで500、全員がク
レームをつけることは統計上ありません、事実全員がクレームをつ
けたわけではない、つまりクレーム件数は、せいぜい数10件でし
ょう。

たった数10件のクレーム(不良品をつかまされた人は迷惑だった
でしょうが)で、あそこまでニュースになるのか!というのが、こ
のニュースが気になった理由です。

たぶん、各局でアナウンサーがニュースを読み間違えるたびに来る
クレームの数は、この数倍から10倍はあるでしょう。

死人が出たわけでも、健康被害が発生したわけでもない。看板に偽
りありの観はありますが、全てのテレビ局で数日にわたり何べんも
報道するほどのことか。おまけに新聞まで後追いする始末。

過去の不二家や赤福の時とは、あんまりスケールが違いすぎるでし
ょ。たった500ですぜ、500。500つったら、このメルマガ
の読者の数ですよ(どういう意味だ?)。

いくらか大げさに取り上げたとしても、まあ週刊誌レベルであって、
地上波が扱うようなネタじゃありません。

なんか悪意さえ感じましたね。

「せっかくのめでたい正月が不良おせちで興ざめ」には違いないで
すが、それはご注文した人と業者の関係の中で償われるべき問題で
あって、メディアは何も関係ないでしょうってことで、正月早々
「テレビってバカじゃねえか」と毒づいておりました。

あ、そういえば年末にテレビ出演の話があったな。
出なくてよかった。


■著者としてのためらいがない著者たち

不良おせち騒動の発端はネットからなので、ネットについても触れ
なきゃいけないのですが、もうそろそろ本題に入らないといけない
ため「まあ、ネットがなければ、あのおせち業者もここまでダメー
ジは被らなかったでしょうね」ということで話を終わりにします。
強制終了。

さて、これから本を書こうと考えている人のなかには、「本を書い
ている人は大学教授とか、大企業の経営者とか、華々しい経歴の人
ばかりで、自分のような普通の人間は著者になれないのではないか」
というためらいを感じている人も多いのではないでしょうか。

実際そのような質問を受けることはよくあります。

「いや、著者の経歴は出版社が華々しく演出しているので、本人は
だいたい普通の人です」というのが質問に対する答えなのですが、
それで納得していただける人は少なく、やはり多かれ少なかれ著者
になることへのためらいを残しているように見えます。実に謙虚で
あります。

ところが最近目立つのが、こうしたためらいの欠片もない著者です
ね。だいたい「日本経済の常識のウソを暴く」という姿勢の人たち
が多いように見えます。

全員わたしの知らない著者ですので、事情を知らずにケチをつける
わけにはいきませんから遠慮して物を言いますが、一言でいうと厚
かましい。

経済学者でもエコノミストでもない彼らが、常識のウソを暴くとい
う志は大変けっこうなのですが、自らの非常識を明らかにするだけ
で終っていることが残念です。

彼(彼女も含む)らは、専門外のことであっても、自分はこう思う
ということを検証もせず推敲もせず、思いついたまま発言してしま
う。

それを許す編集者もどうかと思いますが、著者より賢い編集者とい
うのはあまりいないので、かくして次々と「仰天本」「とんでも本」
が誕生してしまいます。しかもそれで売れているものも少なからず
ある。

UFOや超常現象をテーマにした本なら別にいいですけど、だいた
い日本経済をテーマにした本で目を疑うような記述が次々出てくる
と、ちょっと吃驚です。

なぜならUFOや超常現象、あるいは超古代史というのは検証不可
能ですから言いっぱなしOKなわけですが、日本経済を扱うとなる
と、相当な部分で検証が可能で、発行後に間違いが明らかになって、
盛大に赤っ恥をかく恐れがあるからです。


■それでも読者はバカじゃない

経済の本は、経済学者やエコノミストだけのテーマではありません
し、エンゲルスだってリカードだって一企業家だったわけですから、
だれが書いてもいいのですが、「日本経済は円高でも大丈夫、だっ
てこの10年リーマンショックまで円高でも輸出は増え続けていた」
というようなことをいわれると、いや、05年から07年までも円
安だったでしょ、だからあんなにFXがブームになったんだし、輸
出が大きく伸びたのもその時期じゃないのと突っ込みの一つも入れ
たくなってしまいます。

こういう人たちは、たぶん著者としてのためらいはないんでしょう。
別に百年残る本を書こうとはお考えではないのでしょうから、赤っ
恥覚悟ならそれでいいと思います。

では、このような、はっきり言って思いつきだけで書かれた「とん
でも本」が、実はそこそこ売れているという事実をどう見るべきか。

わたしの持論は、「読者は著者と編集者より賢い」ですから、読者
はそれとわかった上でこの種の本を買っているということになりま
す。要するに、法経書としてではなく、エンタメ本として読んでい
るということです。

柳田理科男の「空想科学読本」が、科学の知識を味付けにしたエン
タメであるように、経済を味付けにしたエンタメとして読んでいる
のかもしれません。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4840108161/consulgent-22/ref=nosim

無論、この見解とて思いつきですが。
ただ、幸いなことに検証はまず不可能です。

というようなわけで、読者はちゃんとわきまえて本を読んでくれて
いますので、著者が何を言おうと問題ありません。どんどん好きな
ことを書きましょう。ためらうことはありません。

とはいえ、好きなことを書いて出版できるなら苦労はありません。

好きなことを書いて出版できるのは、自費出版と人気作家がその人
気がピークの時に一時的に可能になるだけです。出版社は、著者に
書きたいことを書いてもらうために仕事はしておりません。

そこでいつものテーマに戻りますが、編集部ではどんな審査基準で
企画を評価しているのか。いちいち審査基準を明確にしている編集
部はないと思いますが、あえて明文化すると次のような具合になり
ます。


■企画を評価するレーダーチャート

<テーマ性>
・市場性(売れ筋のテーマか) 評価1.2.3.4.5
・話題性(タイムリーか、異色か) 評価1.2.3.4.5
・斬新さ(これまでにないものか) 評価1.2.3.4.5

<著者性>
・キャリア・体験の輝度(めったにない体験、ユニークなキャリアか)
 評価1.2.3.4.5
・テーマに対する適性(テーマにふさわしい著者か)
 評価1.2.3.4.5

おおむね以上5つの総合評価で判断しているといっていいでしょう。

5角形のレーダーチャートにするのは、メルマガのテキストでは難
しいので、それはみなさん各自でやってください。オール5なら確
実に企画は通るでしょう。4でもOKだと思います。

市場性(売れ筋のテーマか)というのは、企画のテーマがいま書店
店頭で売れているテーマなのか、ほとんど見向きもされていないテ
ーマなのかということです。

「片付け」が企画のテーマなら、いまなら市場性ありですね。
4以上がつくでしょう。経営計画なら2か1です。

話題性(タイムリーか、異色か)は、テーマの話題性でも著者の話
題性でもいいのですが、一応テーマのほうに分類しています。

ノリピーの本が、昨年末に朝日新聞社から出ましたが、著者の話題
性というのはああいう本のケースですね。

一方、テーマの話題性というのは、たとえば「相続税が上がる」と
いうのは、ノリピーの本と違って、本それ自体に話題性があるわけ
ではなく、相続税が上がれば世間で話題になるであろうから、それ
に便乗してということになります。

いずれにしても、話題性というのは読みが外れることが多く、恐ら
くノリピー本でもMAX4くらいしかつけられなかったと思います。

斬新さ(これまでにないものか)というのは、評価の分かれるとこ
ろで、だれも必要としないからこれまでなかったのか、必要なのに
見落としていたのか、さあどっちだということになります。

相続つながりでいえば、昨年『磯野家の相続』という本がありまし
た。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4883999327/consulgent-22/ref=nosim

これはテーマ自体は斬新なわけではないですが、切り口が意外とな
かった角度でした。市場性は相続がテーマですから恐らく評価は2
か3程度、話題性も斬新さも評価5には届かなかったでしょう。せ
いぜい4くらいと見ていたんじゃないでしょうか。

著者のキャリア・体験の輝度、つまりどれだけ光るものを持った人
かということですが、これはもうほぼテーマと一体ですね。光って
いるところがそのままテーマです。

光るというのはどういうことかといいますと、チリの鉱山事故から
生還した人の本なら問題なく出版されますし、世紀の極悪人の本で
も出版されるでしょう。

極端に言えば、100人殺した人物でも出版はOKなので、普通の
人ではありえないような体験を持っている人なら、その体験の特殊
性だけで企画は通ってしまいます。

対して、テーマに対する適性は、必ずしもべらぼうなキャリア・体
験を持っている必要はありません。

わたしでもできたのだから、あなたでもできますよ、という簡便さ
で売ろうとする本の著者が、なにかもの凄いキャリアであったら、
かえって説得力を失いますから、普通の主婦であったり、ビジネス
マンであったほうがいいわけです。

だれでもできるダイエットとかいうテーマであれば、著者は怠け者
であったり横着者であって、それでも15キロ痩せたというほうが
引きがありますよね。本当に痩せた人であるかという結果は問われ
ますけど。


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