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がんばれ社長!今日のポイント
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14/09/08がんばれ社長!今日のポイント 「次男緊急入院顛末記」
配信日:2014年09月08日
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経営者用メールマガジン 『がんばれ社長!今日のポイント』
作者: 武沢 信行 2014年9月8日号 VOL.3431 購読者:25,985名
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『次男緊急入院顛末記』
●9月 7日(日曜日)未明。
「お父さん、ちょっといい?」と次男が私をゆり起こした。外はまだ
暗く、時計をみるとまだ 5時を回ったばかりだ。
「お、なんだ、もう出かけるのか。早いな」と私。「いや、違うんだ。
ゆうべからずっと腹の具合が悪くて」と下腹に手をあて、苦痛に顔を
ゆがめている。「痛くて横になっていられない」と言う。
●「ゆうべの回鍋肉(ホイコーロウ)があたったかな?」と私。週末
は私が料理をつくることになっていて、昨夜、回鍋肉と茄子の酢揚げ、
卵とじ中華スープを作ったのだった。
「いや、料理は関係ないよ。夕食のずっと前から下腹が張っていて、
痛くなったのは夜中の 1時ごろから。今しがた気分も悪くなって吐い
ちゃった」
「どこが痛い?」
「この辺」
素人ながらにも、すぐに虫垂炎(盲腸)だと判断できた。
●その場で 119番電話した。
若い男性の緊張感あふれる声がした。
「はい、119番です。救急車ですか?消防車ですか?そちらの場所は
どちらですか?」
「息子がはげしい腹痛で苦しんでいます。この時間に診療してもらえ
る病院を知りたいのですが」
「わかりました。救急車は必要ないのですね?」
「はい、必要ありません」
相手も少し緊張感を解いた声になり、「電話番号を言いますから控え
てください」と教えてくれた。
●救急病院を紹介してくれるところを紹介してくれた。そこに問い合
わせると、「X 病院に受け入れ体制があり、今、状況を伝えましたの
で、すぐに保険証をもって行ってください」といわれた。
“X 病院か。聞いたことはあるがどこにあるのだろう?”と思って調べ
ると比較的近い。徒歩なら 25分、車なら 10分といったところだ。
●「救急車じゃないの?」と聞く息子に、「うん、タクシーにする」
と返事した。ふだんから車を運転しない私は、かつて長男の腹痛のと
きに救急車を呼んだことがある。そのときも真夜中だった。
周囲の人が驚いて電気をつけたり、起きだしてこられるのが申し訳な
く、よほどのことがないかぎり夜中に救急車を呼ぶまいと心に決めて
いた。ましてや今は、日曜の早朝である。安眠を妨害するのはしのび
ない。
●家内はたまたま用事で実家にもどっていて不在だった。連絡するの
はもう少しあとにしよう。まずタクシーを呼んでおき、それから身支
度することにした。
「お電話ありがとうございます。○○タクシー、配車センターの△△
と申します」
応対が丁寧なのは結構だが、急いでいるときにこれでは冗長だ。119
番みたく手際よくやってほしい。
「大至急、一台回してほしいのですが」
「ありがとうございます。大至急で一台でございますね。このお電話
ですと武沢 信行様のご自宅でいらっしゃいますね?ご住所は○○市、
××区、△△町三丁目で・・・」
「はいそうです。すぐに来られますか?」
「そうですねえ〜、はい、割合近くに一台おりますので 10分ほどもあ
れば到着可能かと思いますが」
「では、なるべく早くお願いします」
「かしこまりました。すぐに手配いたします。お電話ありがとうござ
いました。担当の△△が確かにお承りました。またのご利用を・・」
ブチッ、と切った。マニュアルトークも結構だが、こちらの語気から
空気を察してほしい。
すぐに洗面と身支度を済ませた。息子はどんな姿勢になっても痛みが
和らがないようで布団の上を何度も転がっている。
●タクシーで X 病院に着いた。夜間緊急受付のドアからなかに入ると、
受付に年配の男性が二人いた。そこで再びイライラさせられることに
なる。
「先ほど、救急センターから電話が入ったと思いますが、武沢と申し
ます。息子が腹痛に苦しんでおりますので、診てやっていただけます
か」
「武沢さん、あ、はいはい、聞いています。では、まずこちらの問診
票に必要事項を書いてご提出ください。あちらにソファがありますの
で」
やけに鷹揚というか、のんびりしている。
●「問診票はすぐに書きますから、まず息子の様子を先生に診ていた
だくことはできませんか?」
「まずは問診票を書いていただかないと受付できませんので、さきに
書いてください」
「患者は緊急なんですよ」
「ええ、いま医師の先生は救急の患者さんを診ていらっしゃいますし」
こんなところで押し問答していてもラチがあかないので、息子と私は
ソファに座って問診票を書いた。A4の紙を裏表つかっているので 4ペ
ージもある。書いているうちに息子がトイレに走り、嘔吐していた。
●受付に問診票を提出しながら、「息子があんな具合です。なるべく
早く診てもらいたいのですが」と訴えると、「皆さんを順番に診させ
てもらっています。それに今、医師は救急の方を診ていますので」と
まったく動じない受付男性。
(皆さん順番に)と言う。気になって脇の小部屋をみると待合室に三
組ほど先客がいた。
「あの三組の方の後になるということですか?」
「はい、そうです」
「そんなことで本当に息子の身体は大丈夫なんですね?」と私。
●完全に来る病院を間違えた。
以前、長男がかかった病院は、夜間の緊急外来の患者はまず一人の医
師がすべて面接し、血圧と問診をした。そのあと、ふたたび待合で待
たせた。たったそれだけのことで本人と家族の安心感がまるで違う。
この病院にはそうしたシステムがない。本来は緊急外来を受け付けて
はいけない病院なのである。
●こんなことなら救急車を呼ぶべきだったか。小一時間後、息子が呼
ばれた。医師の部屋に行くと、若い男性が座っていた。医師だと思っ
たので深々と頭を下げたが、大学生のインターンとおぼしき若さの助
手だった。いろんな質問をしたあと、「血液と MRI の検査をしてよろ
しいでしょうか?」と息子と私の顔を交互に見ながら聞く。
私は「良いもわるいも、先生にお任せします」と言った。次に、多少
年配の男性が出てきた。今度こそドクターだと思ったら、こちらも助
手だった。ガリレオに出てくる栗林先生(渡辺いっけい)をもう一段
頼りなくした感じの男性で、インターンと同じ質問をくり返したのち、
すぐにいなくなった。
●息子の顔色がだんだん白くなり、脂汗が出てきた。血圧は上が 90、
下が 60まで下がった。
「私が去年お世話になった A 病院なら今ごろ手術をしているか、ひょ
っとしたら手術を終えて病室にいるかもしれない。すまない、息子」
内心で、この病院に連れてきた自分を詫びた。
いっそのこと、今から A 病院に電話してみようか、とも考えたが下手
に動くと病状が悪化するかもしれない。
マンダラ手帳に貼ってある仏像を拝み、手を合わせた。
●ベテランの女性看護師が医師チームにひと声かけた。
「先生の許可を得て、さきに検査を済ませておきましょう」とでも言
ったのかもしれない。なにしろ看護師は、患者を毎日みている。待合
にいるひとりひとりの様子をうかがいながらどの程度、急を要するか
が分かるのだろう。ようやく息子の血液検査と MRI 検査が始まった。
●その後、ようやく医師があらわれた。虫垂炎の疑いが濃厚で切開手
術と入院が必要であること。手術の予定がすでにいくつか入っている
ので、息子の手術は今日の午後か夕方になること。それまでの間は病
室で痛み止めと栄養補給のための点滴を打つことをすすめ、私は同意
した。ようやく病室に運ばれ、ベッドに横たわったのは午前 8時を回
っていた。タクシーで病院に来てから 2時間後のことである。息子は
よく耐えたと思う。私もよく怒りに耐えた。
●この話には妙なオチがついている。
緊急対応に憤りを感じた X 病院だが、 T さん、S さんなど、女性看護
師の対応は完璧といえるほど素晴らしい。実にこまめに病室に足を運
び、そのつど優しく、手際よく必要な処置をしたり、情報提供をして
くれる。看護師に関しては A 病院より上かもしれない。看護師によっ
て支えられている病院にちがいない。
●ということは、こちらとしては「緊急のときは A 病院」「急がない
ときは X 病院」というような使い分けが必要かもしれない。もちろん
病院は医師の技術力や人間力、医療に関する施設や機器などが一番大
切な点であることは承知しているが、仕事をこなす院内システムの力
や、看護師の力も相当に大きいことがわかった。
●午後 3時、全身麻酔による手術が始まった。手術室まで見送った私
は病室で待つことにした。手術室前のソファが人で一杯だったからだ。
4時になって、家内が入院に必要なものを一式そろえて病室に来た。
5時少し前にベッドを引っぱる音が聞こえてきた。手術を終えた息子が
戻ってきたのだ。酸素マスクやモニターが装着されて物々しかったが、
息子の意識はもどっていた。
「お父さん、息子さんが無事に戻られましたよ」と看護師の明るい声。
息子は目を閉じたまま点滴がつながった右手でアームレスリング握手
をしてきた。私もぎゅっと手を握りかえした。
●朝の 5時から続いた緊張は夕方の 5時になってようやく解放され、
自分がなにも食べていないことに気づいた。外に出ると日が沈みかけ
ていた。一杯の牛丼を無心にたべた。
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顔が想像できるようです。
◎がんばれ社長!今日のポイント
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