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「顧客の専門家」マインドリーディング入門
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【マインドリーディング入門】「感情訴求」&「理性訴求」のベストバランス
配信日:2012年07月20日
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「顧客の専門家」を目指そう!
マインドリーディング入門
2012年07月20日
No.849
Written by 松尾 順
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●「感情訴求」と「理性訴求」のベストバランス
『宣伝会議』の「座談会記事」において、
ミツカンの安田氏(広告、PR、商品ブランドサイト担当)
は次のように述べています。
“これまで小さな機能の差を訴求しすぎていたのではないかと
考えていました。(消費者は)なんとなく好きだとか
親近感があるといったシンプルな理由で購入を決めている
のではないか、と。”
“特に、食品の場合、競合商品との差は好みの問題になってくる
のに、企業側が理屈をこねくり回していたのではないかと。”
昨日のブログ記事(「感情」で決めて、「理屈」で言い訳)で
ご説明したように、単価が安い食品などでは、じっくりと
比較検討してブランドが選択されることは少ないのです。
多くは、「なんとなく好き」とか「馴染んでいるから」
といった「感情的な理由」で直感的に選択されています。
したがって、対消費者コミュニケーションにおいては、
まず、感情を揺さぶり、端的に言えば「いいな!」と
感じてもらえる「感情訴求」を重視する必要があります。
ところが、安田氏の発言を読むと、
日常生活で利用される食品を作っているメーカーでさえ、
機能や性能、品質などの「規格競争」に陥りがちであり、
対消費者コミュニケーションにおいても、
理性に訴える=「理性訴求」
に重点を置きすぎてしまう傾向があることがうかがえます。
実際、ロッテにおいても、
“最近の商品の傾向として、「お口のエチケット」や
「ミント味」など、商品の品質の良さや機能性価値を
追求するものが多く、自分の感性にあった商品を衝動的
に購入する傾向のある若年層には魅力的に映っていない
のではないか?”
(宮下慎氏、ロッテ・ブランド担当ガム企画室主査)
という仮説にたどり着いたとのこと。
そこで、刺激が強く、爽快感のあるガム、
「ZEUS」
の新発売キャンペーンでは、20代男性をターゲットに、
「感性的に買って体験するという消費行動」
を起こすことを狙った「感情訴求」が主体の
コミュニケーションが展開されたのです。
さて一方で、「スバル」の富士重工業、
岡田貴浩氏(広告担当)は、宣伝会議の座談会で
「ぶつからないクルマ?」
のキャッチフレーズで訴求した運転支援システム、
「アイサイト」について次のように述べています。
“このキャッチフレーズでは端的に機能を訴求しました。
実は最近、情緒価値だけではお客さまが動かなくなった
と感じているからです。例えば、キャンプに行くのも、
4WDではなく軽自動車でも構わないと思う方が増えて
いる時代、「この車に乗って、どこにいこう・・・」
とうい世界観で伝える表現は響かなくなっています。”
自動車は、高額の耐久消費財であり、
本来、十分に比較検討してブランドが選択される商材です。
しかし、とんがった特徴のあるクルマが少なく
(特に日本車は)、規格面での差異が小さいため、
情緒的価値を付加するしかない、すなわち、
「感情訴求」
をこれまでは重視するしかなかったということでしょうか。
ところが、「ステータス」、あるいは「横並び」といった
他者を意識した選択ではなく、自分なりの独自の価値観に
基づいてブランドを選択する人が増えてきた今、
企業が一方的に押し付ける
「世界観」
にはなかなか共感してくれなくなったものと考えられます。
幸い、アイサイトの場合、まだ競合他社が採用していない
最先端の技術であり、明確な差異を示すことができたため、
「購入すべき理由」
として、理性的な訴求が効果的でした。
しかし今後、競合他社が類似の技術で追いつき、
機能上においては差異がほとんどなくなった時には、
やはり
「感情訴求」
の重要性が増してくるでしょう。
(もちろん、どうやったら、感情レベルで消費者の心を
掴むかというのは難しい課題です。)
昨日の記事で示したとおり、
感情レベルで消費者の心をつかむことと同時に、
理性的なブランド選択に資する「購入すべき理由」
をも示すことが重要です。
したがって、対消費者コミュニケーションにいては、
状況に応じた最適な
「感情訴求」と「理性訴求」のベストバランス
を模索しなければならないと言えるでしょう。
引用文の出所:
『宣伝会議』(2012.7.15)
『販促会議』(July 2012)
*上記内容は、マインドリーディング・ブログでも
公開しています。コメント、トラックバックをお願いします!
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