IT業界の裏話
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[IT業界の裏話-0330]細かすぎる仕様書で特定のベンダーに受注させる技術
配信日:2009年08月04日
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2009年8月4日発行(5000部)
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■■ IT業界の裏話−−−−−−−−−−−−−−−−−−−No.330
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どうも、吉澤準特です。
ITproに「ダメなシステム屋にだまされるな」という
強烈なタイトルの記事があります。
今週取り上げられたのはこちら。
「第23回 社会人としての責任感に欠けるネット系“システム屋”」
→ http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090730/334847/
ネット系に限らず、業界全体でこういった人たちが多いように思えます。
他業種からIT業界に移ってきた方からすると
学生気分の抜けていないこういった人々は
だらしがないと感じることでしょうね。
▼ INDEX ▼
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■ 業界裏話 :細かすぎる仕様書で特定のベンダーに受注させる技術
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■ 業界裏話 :細かすぎる仕様書で特定のベンダーに受注させる技術
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システム開発の入札(ベンダーからみるとSI案件)に競争入札(コンペ)
は付き物です。
コンペの目的は、入札者同志で金額を競ってもらい、提案内容の質とコス
トのバランスが最も優れたベンダーを決定することにありますが、時折、
「こんなに詳細な要件を指定してベンダーが理解できるのか?」という
RFP(提案依頼書)を見かけます。
曖昧すぎるRFPはリスクが大きくなるので嫌われますが、一方で細かすぎる
RFPについても、内容理解で相当の持ち出し工数が発生するのでベンダーは
嫌う傾向にあり、提案辞退によってコンペが機能しなくなるケースもしば
しば聞く話です。
※官公庁では不調、不落とよびます
これに関して、半年以上前の話になりますが、公正取引委員会のグループ
ウェア導入入札に関する契約監視委員会の議事で次のようなやりとりが記
録されていました。
(ある委員からの質問)
「平成20年1月の入札には1社しか参加していない。なぜ1社しか入
札に参加していないのか。私が考えるに,仕様書の条件が細かすぎた
ためにそれに対応できる会社が極端に少なくなったのだと思うが。
必要なもののみを絞って書くべきだと思う。何となく,落札した会社
しか参加しにくいものとなっているのではないかと思われる。」
(担当者回答)
「ネット接続,ファイアウォール運用や迷惑メール振り分防止などイ
ンターネット接続と接続に係る情報セキュリティ確保に関する業務
を行う会社が異なると障害発生時など調整が複雑になるので一手に
引き受けてもらう会社を条件とした。大手の会社にはすべて兼ね備
えているところがあるので数社は入札に参加してくれると思ってい
た。」
「仕様書に書いたものはすべて必要なものだと考える。セキュリティは
しっかりしてもらいたいのでかなり具体的になってしまった。仕様書
に書く内容をどこまで細かく書くかという課題がある。また,調達ま
でのスケジュールが非常にタイトだったので,今後は期間を長くとっ
て多くの会社の目に触れるようにしたい。」
→ http://www.jftc.go.jp/info/zuikeitekiseika/kanshiiinkaigaiyo2.pdf
システム開発の提案というのは、RFPをベンダーに投げてから2週間〜1カ月
以内で提案書を出してもらうのが一般的です。
一見すると相応の期間だと思う人もいるかもしれませんが、ベンダーにと
っては、RFPの内容理解、提案骨子作成、内容記述、内部レビュー、必要に
応じて協力会社との事前調整というタスクをこなす必要があり、RFPの内容
が過度に細かいとこれらの工数が比例して肥大化します。
私もRFPを作る側と受ける側をある程度経験していますが、細かすぎるRFP
を書いた場合、3週間以上のリードタイムを設定しないとベンダーから意味
のある提案書は出せませんし、出てきません。
そういった事態に陥らないよう注意することが必要になりますが、これを
逆手に取る方法もあります。
つまり、「特定ベンダーに決定するために、要件の過度な詳細化とタイト
なスケジュールを提示する」というテクニックです。公正取引委員会の場
合は、結果としてこうなってしまったのだと理解しますが、意図的に同じ
状況を作り出せば、事実上の随意契約、つまり「最初からこのベンダーに
取らせることが決まっている状態」になるのです。
RFPを作る方、提案書を作って応募する方は、このあたりを意識するといろ
いろとコントロールできるようになります。
(このエントリーへのコメントはこちら)
→ http://it-ura.seesaa.net/article/124143844.html
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編集後記)
官公庁では提案依頼に対して応募がなかった場合、
不調という表現をします。
とっても気まずく、担当者は監査機関から怒られます。
また、入札はしてきたが価格が折り合わずに
落札業者がだれもいない状態を不落といいます。
これも監査機関から怒られるので、
官公庁の入札調整はかなり気を使うんですよね。