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武士道・一日一話
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【武士道・一日一話】 No.15
配信日:2009年07月30日
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武士道・一日一話
2009.7.30 No.15
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武士道。それは日本人が本来持っている立派な人になるために必要なマナー。
私たちが生きていくうえで必要な振る舞いや責任について考えるためにため、
そして美しく、気高く生きるために、古の人たちの言葉を通して、私たちの心
をもう一度見つめなおす機会を持ちたいと思っております。
《おもな内容》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.【今日の言葉】 死のうか生きようかと思うときは、死んだほうがよい
2.【出典紹介】 「葉隠」・「葉隠入門」
3.【編集後記】
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【今日の言葉】
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● 死のうか生きようかと思うときは、死んだほうがよい
(前略)志田吉之助、「生きても死してものこらぬ事ならば生きたがまし。」
と申し候。志田は曲者にて、戯れに申したることにて候を、生ひ立ちの者共聞
き誤り武士の傷になる事を申し出づべくと存じ候。この追句に、「喰ふか喰ふ
まいかと思ふものは喰はぬがよし。死なうか生きようかと思ふ時は死したがよ
し。」と仕り候。
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【要旨】
(前略)吉田吉之助(※)が、「生きても死んでも残らないものなら、生き
たほうがよい。」と言った。志田はしたたかなもので戯れにいったことを、若
い者どもが聞き違って、武士の名折れになるようなことを申し出したなどと思
ったものだ。この追い書きに、「食うか食うまいかと思うものは、食わないほ
うがよい。死のうか生きようかと思うときは、死んだほうがよい。」とある。
※ 龍造寺政家の側近。龍造寺政家は、家老と鍋島直茂の機敏な行動によって、
家を乗っ取られてしまった。
*「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)より
「葉隠」名言抄(笠原伸夫訳)を引用、一部改訂
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【私見】
これだけ読んでいると何が何だかわからないので、ここに出てくる志田吉之
助なる人物のことを書いてある本を読んでみました。
彼は、領主権が鍋島家に移ると同時に役職を辞し、気楽な隠居の身になって
自分なりの生き方を続けた人です。有能な人物で、しばしば鍋島家からも誘い
がかかりましたが、奇人のふりをして断ったそうです。奇人ぶりを示すエピソ
ードとして、噛み付く犬の脇を通るとき、「足の傷はやがて治るが、袴を食い
ちぎられたら元も子もない」といって、わざと犬に足を噛む様に袴の裾をから
げて通ったり、「俺の命を狙っている奴がいるから、襲われたときは堀に飛び
込んで助かりたい」といって、城の堀のそばギリギリの所を歩いたり、「死ぬ
ときは打ち首よりはりつけのほうがいい。はりつけのほうが長く生きられる」
などと真顔でいい、周りから「頭がおかしくなった」といわれました。しかし、
やがてはそういう馬鹿なこともやめ、旧主龍造寺政家の墓のそばに小さな草庵
を結び墓守を続け、やがてそこで亡くなりました。
【参考・「小説 山本常朝」(童門冬二/致知出版社/1998)】
これを読むと、常朝が「曲者」と言った理由がわかります。この奇行を「わ
ざとやっている」と見る鍋島家の家老もいたようです。ひねくれた行動の中に、
旧主を慕う気持ちと誰よりも強い武士としての「生」に対する執着を感じます。
最後の一文も「死んだほうがよい」とは「生」に対する反語的表現と私は受け
止めています。この短い言葉からも、主君に対する忠義と「生」に対する執着
の暗示を感じます。
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【編集後記】
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毎日暑い日が続いています。しかしながら、毎年この時期になると必ずと言
っていいほど風邪をひきます。今年も、冷房のかけ方に注意をしたり、汗をか
いたら極力着替えをしたりしたものの、熱がでてしまいました。
だいぶほとぼりが冷めてしまいましたが、新型インフルエンザも決して終息
したわけではありません。夏が終わり、体力が弱った頃にまた大騒ぎをするか
もしれません。風邪とは無縁の季節と思われがちですが、うがい、手洗いを励
行しましょう。特に、手を清潔にすることの大切さを感じています。
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【武士道・一日一話】
発行者:菅野 惠天 (武士道勉強家)
【ブログ】 武士道・一日一話 http://nippon-bushido.seesaa.net/
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