武士道・一日一話

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【武士道・一日一話】 No.10

配信日:2009年07月13日

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     武士道・一日一話 
2009.7.13     No.10
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武士道。それは日本人が本来持っている立派な人になるために必要なマナー。
私たちが生きていくうえで必要な振る舞いや責任について考えるためにため、
そして美しく、気高く生きるために、古の人たちの言葉を通して、私たちの心
をもう一度見つめなおす機会を持ちたいと思っております。


《おもな内容》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.【今日の言葉】 志の低い奉公人 
2.【出典紹介】  「葉隠」・「葉隠入門」
3.【お知らせ】
4.【編集後記】


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【今日の言葉】 
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● 志の低い奉公人

 今時の奉公人を見るに、いかう低い眼の着け所なり。スリの目遣ひの様なり。
大かた身のための所得か、利発だてか、又は少し魂の落ち着きたる様なれば、
身構へをするばかりなり。我が身を主君に奉り、すみやかに死に切つて幽霊と
なりて、二六時中主君の御事を歎き、事を整へて進上申し、御国家を堅むると
云ふ所に眼をつけねば、奉公人とは言はれぬなり。上下の差別あるべき様なし。
されば、このあたりに、ぎしと居すわりて、神仏の勧めにても、少しも迷はぬ
様、覚悟せねばならず。

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【要旨】

 いまどきの奉公人を見ていると、志が大変低いように思われる。あたかもスリ
の目配りみたいなものである。おおかたは自分のための所得か、小利口さか、ま
たは少しは心の落ち着いているようなものでも、何かと格好をつけるだけである。
しかし、そうした精神ではだめなので、自分の身体を主君に差し出し、速やかに
死にきって幽霊にでもなり、いつも主君の身の上を案じ、問題を整理しては具申
し、藩の基礎を案じ固めるというところに着眼しなければ、奉公人とは言えぬも
のである。そうした点では、上下同じ心構えでなくてはならない。だから、この
あたりにしっかり腰を据えていて、仮に神仏のお告げがあったとしても、少しも
迷わないように覚悟する必要がある。

*「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)より
 「葉隠」名言抄(笠原伸夫訳)を引用、一部改訂

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【私見】

 奉公人とは今で言えば、サラリーマンや公務員といった立場の人。生きながら
「幽霊になる」ような腹の据わった人が多くいる組織はとても強いです。そのよう
なプロ意識を持つ人間集団を作ることが、特にリーダーとして大切な事であります。
もちろん、「幽霊になる」とは死んでしまうことではなく(でなければ勤めを果た
すことはできない)、生きることを強調する反語的な表現。「幽霊になる」ような
気概で組織や社会で生きていくためには、それだけの覚悟と自律が必要だというこ
とを強く感じることができます。


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【出典紹介】 
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●「葉隠」(はがくれ)
 江戸時代中期(1716年ごろ)に出された肥前国鍋島藩藩士、山本常朝の武士
としての心得について見解を「武士道」という用語で説明した言葉を田代陣基
が筆録したものです。

●「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)
 「葉隠」を“わたしのただ一冊の本”と心酔していた三島由紀夫が現代人に
書いた入門書です。彼の持論もありますが、「葉隠」の闊達な武士道精神を今
日によみがえらせ、現代という乱世に生きる私たちに“常住坐臥”の心構えを
説いています。


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【お知らせ】           
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●第4回 武士道協会 定期講座

 (東京)
  日時 平成21年8月1日 13時30分〜16時30分
  場所 PHP総合研究所
     東京都千代田区三番町3-10

 (京都)
  日時 平成21年8月2日 10時00分〜13時00分
  場所 PHP研究所京都本部
     京都市南区西九条北ノ内町11

講師 小野 晋也 氏 (武士道協会専務理事・衆議院議員)

問い合わせはこちらから
 武士道協会事務局 PHP研究所内
 075-681-5514

 NPO法人 武士道協会
 http://www.bushido.or.jp/index.html

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【編集後記】           
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 先日、新渡戸稲造の「武士道」に関する本を読みました。

 「武士道」解題 (李登輝/小学館文庫/2006)

 著者の李登輝氏は元台湾総統の方。その方が武士道について考察をされていま
すが、他のどの日本人よりも的を得た内容に驚きを覚ええました。戦前の日本で
教育を受け、キリスト教徒である下地はあるとはいえ、新渡戸稲造をはじめとし
た台湾に尽くした日本人に対する敬意を持ち、武士道の価値観を受け入れ、かつ
「台湾人」としての誇りも持つという内容に日本人としてショックと廉恥心を感
じました。先日、NHKの番組で日本の台湾に対する近代史の内容が話題になっ
たりもしましたが、日本人としてのアイデンティティを持つことの大切さを嫌と
いうほど思い知らされました。小さなメルマガですが、私も勉強していきます。

ありがとうございます。
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【武士道・一日一話】
  発行者:菅野 惠天 (武士道勉強家)

【ブログ】 武士道・一日一話 http://nippon-bushido.seesaa.net/
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