武士道・一日一話

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【武士道・一日一話】 No.6

配信日:2009年06月25日

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     武士道・一日一話 
2009.6.25     No.6
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武士道。それは日本人が本来持っている立派な人になるために必要なマナー。
私たちが生きていくうえで必要な振る舞いや責任について考えるためにため、
そして美しく、気高く生きるために、古の人たちの言葉を通して、私たちの心
をもう一度見つめなおす機会を持ちたいと思っております。


《おもな内容》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.【今日の言葉】 翌日のことは、前の晩から考えておくこと 
2.【出典、参考文献紹介】  「葉隠」・「葉隠入門」
3.【お知らせ】
4.【編集後記】


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【今日の言葉】 
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● 翌日の事は前の晩から考えておくこと

 翌日の事は、前晩よりそれぞれ案じ、書きつけ置かれ候。これも諸事人より
先にはかるべき心得なり。何方へ兼約にて御出て候時は、前夜より向さまのこ
と万事万端、挨拶語、時宜党の事迄案じ置かれ候。何方へ御同道申し候時分、
御話に何方に参り候時は、先づ亭主の事をよく思ひ入りて行くがよし。話の道
なり。礼儀なり。又貴人などへ呼ばれ候時、苦労に思ふて行けば座つきできぬ
ものなり。さてさて忝なきことかな、さこそ面白かるべきと思い入りて行きた
がるがよし。惣じて用事の外は、呼ばれぬところへ行かぬがよし。招請に逢は
ば、さてもよき客振りかなと思はるるようにせねば客にてはなし。いづれその
座のすべを前方より服して行くが大事なり。酒などのことが第一なり。立ちし
ほが入つたものなり、飽かれもせず、早くもない様にありたきなり。又常々の
事にも、馳走など斟酌を仕過ごすも却つてわろきなり。一度二度云ふて、その
上には、それを取り持ちたるがよし。計らず行き懸りて留めらるる時などの心
得もかくの如きなり。


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【要旨】

 翌日の事は、いつも前の晩から考えて書き付けておくがよい。これも、万事
人に先じて予定を立てておくべき心得である。
 殿は、どこかへお出かけなされる折は、前夜から先方のことをすべて調べ、
挨拶や対話の内容を思案しておかれた。あなた方もこれを見習うべきで、どこ
へお供を申しつけられても、あるいはお話を伺いに参るときでも、まず先方の
主人のことを良く考えて行くのがよい。これが、つまりは人の和をはかる道で
あり、また礼儀でもある。
 あるいは高貴な人から呼ばれたとき、嫌なことだと思って行ったりしては、
座を取り持つことなどできはしない。なんともありがたい、さぞ面白いことも
あるだろうと思い込んで行くがよい。
 とにかく、すべて用事のほかは、呼ばれないところに行かないほうがよい。
招待されたら、まあ、なんとよいお客様ぶりだと思われるようにできないよう
では、客に行ったとは言えない。いずれにしても、その座の様子を、前もって
知って行くことが大切である。それには、酒の作法などがまずは第一番である。
席の立ち方も大変なもので、飽きられることもなく、といって、早く帰ってし
まうようなこともないようにしたい。また平生、ご馳走にあうとき、あまり遠
慮しすぎるのもかえって悪いことである。一、二度遠慮をして、その上はご馳
走になるのがよい。ふと行きあわせて引き止められたときの心得も、このよう
にするのがよい。

*「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)より
 「葉隠」名言抄(笠原伸夫訳)を引用、一部改訂


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【私見】

 情報や予定をきちんと管理することが現代のビジネスマンにとっては必須な
ことになっています。年末や、年度末になると手帳や手帳術に関することが雑
誌に出てきますが、手帳術のノウハウの一番基本的なことは、前の晩に予定を
立てて重要度や緊急度を考えていくことです。その手帳術の基本になることを
「葉隠」の時代でも提唱しています。それだけでなく、相手のことを考え、シ
ミュレーションをすることの大切さを説いています。
 また、接待や訪問などの先方とのつきあいかたのヒントも書いてあります。
相手も事を立てながらも「つかずはなれず」の距離感を意識しています。この
ような立ち振る舞いは難しいものですが、この距離感を大切にすることが「武
士道的ビジネスライク」なつきあい方ではないでしょうか。


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【出典、参考文献紹介】 
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●「葉隠」(はがくれ)
 江戸時代中期(1716年ごろ)に出された肥前国鍋島藩藩士、山本常朝の武士
としての心得について見解を「武士道」という用語で説明した言葉を田代陣基
が筆録したものです。

●「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)
 「葉隠」を“わたしのただ一冊の本”と心酔していた三島由紀夫が現代人に
書いた入門書です。彼の持論もありますが、「葉隠」の闊達な武士道精神を今
日によみがえらせ、現代という乱世に生きる私たちに“常住坐臥”の心構えを
説いています。



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【お知らせ】           
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●第3回 武士道協会 定期講座

 (東京)
  日時 平成21年7月4日 13時30分〜16時30分
  場所 PHP研究所東京本部

 (京都)
  日時 平成21年7月5日 10時00分〜13時00分
  場所 PHP研究所京都本部


講師 田中成明氏 (アメリカ大日寺住職・国際マンダラ協会会長)

「仏教」の観点から、「武士道」について講演されます。初めての方でもお
気軽にご参加ください。

問い合わせ
 武士道協会事務局 PHP研究所内
 075-681-5514

NPO法人 武士道協会
http://www.bushido.or.jp/index.html


    
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【編集後記】           
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 私が使っている手帳では、明日の予定を並べて、重要度と緊急度によって優
先順位をつけていくようなレイアウトになっていますが、シュミレーションを
することの大切さを感じます。そして多少嫌な用事があったら、面白いことや
楽しいことを見つけることを心がけたいです。精神的に楽になるでしょう。仕
事を愉しむことも「葉隠」は教えていると思います。

 
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【武士道・一日一話】
  発行者:菅野 康典 (武士道勉強家)

【ブログ】 武士道・一日一話 http://nippon-bushido.seesaa.net/
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