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武士道・一日一話
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【武士道・一日一話】 No.3
配信日:2009年06月15日
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武士道・一日一話
2009.6.15 No.3
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武士道。それは日本人が本来持っている立派な人になるために必要なマナー。
私たちが生きていくうえで必要な振る舞いや責任について考えるためにため、
そして美しく、気高く生きるために、古の人たちの言葉を通して、私たちの心
をもう一度見つめなおす機会を持ちたいと思っております。
《おもな内容》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.【今日の言葉】 自分の能力の限界を知ること
2.【出典紹介】 「葉隠」・「葉隠入門」
3.【編集後記】
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【今日の言葉】
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● 自分の能力の限界を知ること
我が知恵一部の知恵ばかりにて万事をなす故、私となり天道にそむき、悪事
となるなり。脇より見たる所、きたなく、手よわく、せまく、はたらかざるな
り。真の知恵にかなひがたき時は、知恵ある人に談合するがよし。その人は、
我が上にてこれなき故、私なく有体の知恵にて了簡するとき、道に叶ふものな
り。脇より見る時、根づよくたしかに見ゆるなり。たとへば大木の根多きが如
し。一人の知恵は突つ立ちたる気の如し。
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【要旨】
われわれは、わずかな知恵しかないのに、その知恵ですべての物事を判断し
処理しようとするから、かえって邪念となり、天の道理に背き、ついには悪事
と化すのである。他から見ていると、そんな知恵は汚くて、弱々しく、狭い上
に、どうしても動きが鈍いものだ。
自分自身のよりよい知恵が思い浮かばないときは、それらしい知恵者と話し
合ってみるのもよいだろう。その人は自分のことではないものだから、私心な
く素直に判断することができ、結局は、道理にかなうことになる。これは大切
なことで、そばから見ていると、根気強く確実なものに見えるのである。例え
ば、大木の根が、たくさんあって太いようなものである。一人の知恵には限り
があって、あたかも一本そびえて立っている立ち木のようなものである。
*「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)より
「葉隠」名言抄(笠原伸夫訳)を引用、一部改訂
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【私見】
ソクラテスの思考に「無知の知」というものがあります。自分の知識・知恵
が完全ではない事に気がつくことは、知識・知恵があると自認する相手よりも
優れているというものです。知らない事を知っていると考えるよりも、知らな
い事は知らないと考える方が優れているという見方です。孔子の『論語』にも
「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」という言葉が
あります。知恵がないことを素直に認め、他人の考えを素直に聞いたり、本な
どから知識を学び、考えることの大切さを説いています。他人の意見や本など
に書いてあることは自身の「私欲」から離れた位置にあるので自身の見えない
ところに意識をさせてくれることもあります。
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【出典紹介】
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●「葉隠」(はがくれ)
江戸時代中期(1716年ごろ)に出された肥前国鍋島藩藩士、山本常朝の武士
としての心得について見解を「武士道」という用語で説明した言葉を田代陣基
が筆録したものです。
●「葉隠入門」(三島由紀夫/新潮文庫/1983)
「葉隠」を“わたしのただ一冊の本”と心酔していた三島由紀夫が現代人に
書いた入門書です。彼の持論もありますが、「葉隠」の闊達な武士道精神を今
日によみがえらせ、現代という乱世に生きる私たちに“常住坐臥”の心構えを
説いています。
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【編集後記】
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私が意識している言葉に「俯瞰する」というものがあります。「俯瞰する」
とは高い所から見おろすこと。すなわち鳥の目になって高いところから全体を
客観的に見ることです。自分目線で主観的に見ると周りが見えなくなる。それ
でよく失敗をします。周りの人の意見を聞くことや、本を読むことは自分が見
落としているようなことを客観的な眼でおしえてくれます。その重要性をとて
も感じます。
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【武士道・一日一話】
発行者:菅野 康典 (武士道勉強家)
【ブログ】 武士道・一日一話 http://nippon-bushido.seesaa.net/
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