人と組織の悩みが嘘のように晴れるコラム100選

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人と組織の悩みコラム Vol.147『にんげんだもの』

配信日:2009年07月01日



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2009年7月1日号
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     人と組織の悩みが嘘のように晴れるコラム100選 

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◆ にんげんだもの ◆


我がフェイス総研の7期第1クォーターが終了した。そして7月1日の今日、第
2クォーターの始まりとして、早朝7:30より全社集会が行われた。

第1クォーターの振り返りや目標達成者の発表、第2クォーターの方針発表と共
に、恒例の学習の時間として教育ビデオを視聴した。


「にんげんだもの」
商売の原点を学ぶ90分尺の名作映画である。

舞台は大津の佐多町にある小さな和菓子屋。そこで働く恵子を軸に、家族や心
やさしい仲間たちとともに物語は展開する。明るくて気立てのよい彼女はある
日、一篇の詩に出会う。


「小さな店であることを恥じることはないよ その小さなあなたの店に
 人の心の美しさを 一杯に満たそうよ」


今まで何気なく働いていた彼女は、その言葉の一つひとつに深く感動する。

自分の考え方一つで商いの世界は全くかわってしまう。今までの売ろう、買っ
てもらおうという考え方を捨て、素直に人に接し、お客様に喜んでいただこう
という気持ちで一杯になる。

恵子に恋心を抱く大企業のエリート社員・中川は「そんな考え方は時代に合わ
ない。自己満足に過ぎない。情緒的な商いではなく、資本力と組織力を背景に
した合理的なセールスをしなければだめだ」と忠告する。

恵子を見守り励ましてきた店長の加山は、通り一遍のマニュアルではなく、一
人ひとりのお客様に心のこもった接客をし、最大の満足をお届けすることでお
客様の支持が高まり、店は繁盛すると反論し、一歩も引かない。

そんなある日、店を閉めた後に一人の客が飛び込んでくる。老母が危篤なのだ
が、最後にこの春秋庵のお菓子をどうしても食べたいというので、こんな遅く
にやってきたという。

驚いた恵子は、精一杯のことをしようと心に誓った。そして、この出来事が、
彼女に忘れられない思い出をもたらすのだった。

(有限会社日本映像企画社「にんげんだもの」作品紹介より転載)


新たな期の始まりに「商い」の原点を見つめ直してほしい、という願いから上
映することにした。業績という数字を追いかける前に、最も大切なお客様との
『信頼』をしっかりと見つめなおそう、という主旨である。

同じビデオを見ても、感じ方は人様々だ。そこで、それぞれの気付きを共有す
るシェアが大事になってくる。今日は、参加者のうち数名に感想を聞いてみた。
以下のような思いが発表された。

●気がつけば「数字」を追っている自分がいた。しかし、追うべきは「数字」
ではなく「お客様の心」であることに気付かされた。考え方を改めたい。

●ついつい「頭」で考えてしまう。商品のメリットや理屈を話そうとしてしま
う。主人公のセリフでハッとした。「素直な自分に戻って、自分だったらどう
して欲しいかを考える。それをそのままやることだ」素であった頃の自分に戻
りたい。

●一つのお菓子が売れる、その陰には必ず一つの「ドラマ」がある。社内にい
るとついつい作業になってしまう仕事の先には、必ずお客様の「顔」がある。
それを忘れずにお客様の「顔」を思い浮かべながら一つひとつの仕事をしてい
きたい。

●素晴らしいビデオであった。しかし気がつけば「このように信頼を築けば売
上が上がる」というテクニック論的に見ようとしている自分に気づき、そうで
はない、とハッとした。私たちの理念であるイデアに戻ってそれを実践してい
きたい。

●「心の通いあいの無い店はただの『金と物との交換所』という言葉が心に残
った。セットの小道具として貼ってあった社内の張り紙である「菓子づくりで
はなく人づくり」「文化をつくろう」という標語にも共感した。


そして、会長の熊澤がこう締めくくった。

同じビデオを見ても、いろいろな考え方をする人がいる。こんなビデオは古臭
い、こんなものじゃビジネスはできない、という人だっているだろう。

しかし、我が社の40人は誰ひとり違わず全員が同じ思いを感じてくれたはずだ。
主人公の恵子さんと同じきれいな純粋な気持ちを全員が持っているに違いない。

我々のビジネスは『信頼』がすべてだ。6年前に創業したばかりの時は事務所も
無ければ商品も実績も知名度も一切何も無かった。だから、お客様との『信頼』
を築くことより他に何もなかった。その気持ちを忘れてはならない。

今日から再び新たな期が始まる。商品やノウハウを売り込むのではなく、原点
に戻って一人ひとりがお客様と『信頼』を築く、という一点突破で臨んでほし
い。


会長の言葉に力強く頷く者、強い視線で想いを返す者、しみじみと想いを巡ら
す者など様々な反応が見て取れた。しかし、表われる態度に違いこそあれ、40
人の思いは一つだ。

何度も何度も確認をする『信頼』という言葉。その一点に向けて思いを一つに
できた意義は大きい。そしてまだまだ至らないことばかりの日々を一歩ずつ改
め、頂きに向けてにじり寄っていく覚悟を新たにした。


株式会社フェイス総研 
代表取締役社長 小倉 広


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ソメノ編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ふつかよいに なったっていいじゃない にんげんだもの (作詞:ソメノ)

こんなどうしようもない一文に、2行全角70文字も使ってしまいました。さて
コラムに出てきた『にんげんだもの/夫婦だもの』の作中で使われている「小さ
な店であることを〜」の詩。1904年生まれの商業指導家、岡田徹さんによるも
のです。同じく1904年生まれの日本が誇るエンターティナー、エノケン大先生
はジャズナンバーの「My Blue Heaven」を日本語でこう歌い上げました。

夕暮れに 仰ぎ見る 輝く青空 日暮れて たどるは 我が家の細道
狭いながらも楽しい我が家 愛の日影のさすところ 恋しい家こそ 私の青空
                         (訳詩:堀内敬三先生)

昔の人は良い事を言います。今の日本人にこれらのような詩を書く事ができる
でしょうか … 私はできると思います。ただ、しようとしていないだけです。
月並みではございますが、仕事も家庭も音楽も“人と人の心のつながり”が欠
けてしまえば本末転倒。心を豊かに保つためにも、今日はなるべく早く帰って、
家族や友人達と初夏の宵を満喫してみてはいかがでしょう?明日もお楽しみに〜
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