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【経営戦略考11/07/26】東芝が社内保育園を開設>目先の採算性を超えた判断基準

配信日:2011年07月26日

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■■■■■■■■■■■■ 今日の教訓 ■■■■■■■■■■■■
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経営者であるあなたは、日々の意思決定にあたり、どのような判断
基準を持っているだろうか。目先の採算性だけで意思決定するのな
ら、経営者はいらない。経営者としてのポリシーや考え方、そして
中長期的な戦略をしっかりと持った上で、正しく判断しよう。

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━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/07/26(通巻2107号)━
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■■   東芝が社内保育園を開設
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━━━━━━━━━ 情報源:日経産業新聞 2011.07.26【21面】━

「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝という快挙。

世間はおおいに沸いていますが、選手たちの年俸は低く、その多く
はプロ選手でもないとのこと。

驚いたり、あるいは選手たちが苦労させられていることに憤慨した
りする気持ちを抱く方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

プロスポーツの場合、多くは企業スポンサーに依存していて、経営
が赤字であることが多いと聞きます。

ただ、その赤字を、親会社の「広告宣伝費」と考えれば、割安だと
判断することもできます。

スポーツチームが「プロ」であることを標榜するのなら、事業とし
ての採算性や経済合理性は大切なことです。

とは言え、たとえば「親会社の広告宣伝」が役割だと考えるなど、
“事業”としての適否の判断基準は、必ずしも単純ではありません。

26日付けの日経産業新聞に、「東芝は4月、主力拠点の横浜事業所
(横浜市)で社内保育園を開設した」という記事が掲載されていま
す。

「一時は採算に合わないとして検討を中止していたが、社員の要望
が根強く、開設に踏み切った」のだそうです。

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■■   目先の採算性を超えた判断基準
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社内保育園を開設することの適否を判断する基準も、単純ではない
でしょう。

東芝では、「コスト負担がかさみ、経済合理性が成り立たない」と
の判断があり、見送られた経緯がありました。

ですが、記事によれば、「その後も首都圏では待機児童問題は深刻
さを増すばかり。社内保育園を求める声は年々、強まり、採算優先
の考えを転換した」とのことです。

採算以外の判断基準を挙げれば、いろいろとあります。

社員が安心して働ける環境を整備することは、人材の能力発揮や退
職率の低減、採用面での有利さといった効果が期待でき、それらを
含めた採算性の判定は容易ではありません。

記事は、東芝の牛尾文昭執行役常務の次のコメントを紹介していま
す。

「成長のために労働力を確保し、商品開発に様々な視点を取り入れ
る必要がある。だから多様性を阻む要因は取り除くべきだ」

労働力の確保はともかく、「多様性を阻む要因は取り除く」という
表現から、目先の採算性を超えた判断基準の存在をうかがい知るこ
とができます。

「経済合理性」や「採算性」といった基準は、誰の目にも明らかな
客観性があります。それらのみを基準にすれば、それ以上の判断は
必要ありません。極端な話、誰にでもできます。

ですが、「目先の採算性を超えた判断基準」は、企業としてのポリ
シーや考え方、あるいは中長期的な戦略から生まれるものであり、
「誰の目にも明らかな」客観性を覆すには、それらが必要です。

経営における判断には、そのような「意思」が反映されるものであ
り、だからこそ「経営者」が必要になります。目先の採算性だけで
全てを決めるなら、「経営者」はいらないですね。

※東芝の社内保育園「きらめキッズ横浜」
 → http://www.tbls.toshiba.co.jp/contents/preschool/index.asp

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