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【経営戦略考11/06/14】後発薬の普及を阻む壁>「時間」という「向かい風要因」を見逃さない

配信日:2011年06月14日

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■■■■■■■■■■■■ 今日の教訓 ■■■■■■■■■■■■
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あなたが考える事業の構想は、どのような将来予測に基づいたもの
だろうか。恐らくは、「追い風要因」もあれば「向かい風要因」も
あるはずだ。「向かい風要因」については、「時間」という要素を
見逃さないようにしよう。

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■■   後発薬の普及を阻む壁
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━━━━━━━━━ 情報源:日経産業新聞 2011.06.14【20面】━

市場環境や事業の将来像を予測するのは、容易なことではありませ
ん。

ただ、事業家は評論家ではないので、予測をした上で、どうすれば
自分の描くビジョンを実現できるか、必要な対策を打っていくこと
に取り組みます。

たいていの場合、ビジョン実現に有利な条件(追い風要因)と不利
な条件(向かい風)要因の両方があり、どちらを重視するかで、楽
観的にも悲観的にもなり得ます。

14日付けの日経産業新聞には、いわゆる「後発薬」の今後の予測コ
メントが掲載されています。

興味深いのは、外資系製薬会社のCEO2人の予測が、全く異なっ
ていることです。

一人は「後発薬は日本で加速度的に普及する」と予測し、もう一人
は「後発薬の爆発的な普及は考えにくい」としています。

記事は、後発薬の普及を阻む壁について述べており、後者の気配が
強いと結論づけています。

後発薬が普及するかどうかについては、「追い風要因」と「向かい
風要因」の両方があり、記事はそれを丁寧に説明しています。

「追い風要因」として記事は、後発薬の普及が、医療費削減を目指
す日本政府の国策であることを指摘しています。

しかし「向かい風要因」としては、品数が増えるため薬局の在庫負
担が大きいこと、単価が低いため新薬と比較して薬局の利益が減る
こと、があります。

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■■  「時間」という「向かい風要因」を見逃さない
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この「向かい風要因」への対策として、政府は「後発薬の処方割合
が3割以上の調剤薬局への報酬加算を手厚くする」という手を打っ
ています。

ところが、恐らくはそのため「処方割合は約3割でぴたっと止まっ
ている」との指摘もあります。つまり薬局側は、報酬加算が得られ
る最低限度に抑制している、と考えられます。

後発薬の普及のカギを握るのが薬局だとすれば、薬局が儲かるよう
な制度設計をすればよいわけですが、さらなる「向かい風要因」が
あります。

それは、中小メーカーが乱立することで、品切れが頻発するといっ
た過去の悪いイメージが残っていることだそうです。

さらに、「安全性へのこだわりが強く、完璧主義」である日本人の
国民性も、後発薬を敬遠する傾向にあるようです。

薬局の利ざやの問題はともかくとして、品質・性能に差がなく、価
格も低いとなれば、普及しないのが不思議なのですが、その価値が
浸透するには、時間がかかるものです。

そのことについて記事は、「薬局に利益が出る制度設計にすればさ
らに普及率が高まるのは街内ないが、患者や薬局の受け止め方の改
善には時間がかかりそうだ」としています。

この「時間」の要素は、将来を予測するにあたり、非常に難しい問
題です。

というのは、正しい方向性を予測できても、早すぎて失敗すること
が、よくあるからです。

「時間」という「向かい風要因」を、見逃さないことです。

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