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トランプの保護貿易主義は20年遅れている!!

配信日:2018年03月29日

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                  2018年3月29日 第519号

     「中国株投資レッスン」

     TS・チャイナ・リサーチ株式会社 田代尚機 発行
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     目次
     1.『中国株二季報 2018年春号』の販売開始!!
     2. トランプの保護貿易主義は20年遅れている!!
     3.中国株有料メルマガに助言しています!!

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2. トランプの保護貿易主義は20年遅れている!!
 23日の上海総合指数は3.39%下落した。終値ベースでは、1月下旬から2月の
上旬にかけて急落した際、2月9日に付けた安値に次ぐ水準となった。

 細かい指数を比べてみると、上海50指数は2.8%安に留まっているのに対して、
創業板指数は5.2%安と売り込まれている。

 セクター別にみると、これだけ指数が下げているのに対して、上昇している
セクターがある。林業、農産品加工などである。一方、通信設備、鉄鋼、
新材料、物流、電子部品、光学部品、半導体・部品、通信サービス、
石油開発などが大きく売られている。これをみれば、なぜ売られているのか
はっきりとわかる。

 急落の原因はアメリカの保護貿易政策にあるのは明らかである。

 トランプ政権は22日、中国が知的財産権を侵害しているとして
米通商法301条に基づき制裁措置を行うと発表した。最大で600億ドル相当、
ハイテク電子製品など1300品目に関税が課せられる見込みである。

 さらに、23日、鉄鋼、アルミについて輸入制限が発動され、それぞれ25%、
10%の追加関税が課せられることになった。EU、カナダ、韓国など一部の
国・地域は適用を猶予されたが、中国は日本とともに除外されなかった。

 こうしたアメリカの措置に対して、中国商務部は23日、アメリカにおける
鉄鋼、アルミ製品に関する通商拡大法232条措置に対する中止・譲歩を迫る
ための製品詳細リストを発表した。

 アメリカが行った中国からの鉄鋼、アルミ輸入製品に対する追加関税の
中国側で発生する損失を埋め合わせるために、アメリカから輸入される
特定の製品に対して追加関税を徴収するといった内容である。詳細リストを
みると、7種類、128の税項目がリストアップされており、2017年には
これらの製品に関してアメリカが中国に30億ドルの輸出を行っている。
この内、第一部は、120項目、9.77億ドル相当で、フルーツ、ナッツ類・
乾燥フルーツ、ワイン、変性アルコール、西洋ニンジン、シームレスパイプ
などで、15%の追加関税をかける。第二部は8品目であり、合計で
19.92億ドル相当で、豚肉・加工品、アルミ廃棄物などで25%の追加関税を
かける。

 アメリカの今回の追加関税措置に対して、中国はWTO保障措置協定に基づき、
中止譲歩のための詳細リストを制定した。米中が規定の時間内に
貿易保障協議を結ぶことが出来なければ、第一部の製品リストについて
追加関税をかける。更にアメリカの措置による中国の影響を評価した上で、
第二部の製品リストについて追加関税をかけることになる。

 こうした米中のやり取りが貿易戦争に発展したとしよう。アメリカが、
中国のハイテク製品に関税をかけると当然中国の輸出がダメージを受けるが、
中国のハイテク製品は部品、素材を海外から輸入して、中国で加工し、
それでアメリカに売るといった加工貿易が中心である。中国の輸出が減れば
中国に部品、素材を供給している日本、韓国、台湾の中国への輸出が減る。
影響は世界各国に及ぶことになるだろう。

 米中の貿易、投資はお互いに密接に結びついている。たとえば、アップルは
中国でiPhoneを作り、アメリカをはじめ世界中にそれを売りさばいている。
中国の航空会社はボーイングから大量の航空機を買っている。アメリカは
中国との間で、物の貿易については大幅な赤字であるが、その分を
サービス貿易や、アメリカ国債を買ったり、事業投資をしたり金融取引で
還元している。

 中国が知的所有権を侵害していることは、20年以上前からずっと言われ続けて
いることである。これまで放置しておきながら、今さらそれを正そうにも、
米中関係がここまで緊密になってしまった後となってはもう手遅れである。

 知的財産権侵害にしても、鉄、アルミに対する追加関税にしても、いずれも
事前に内容が知られていたことである。にもかかわらず、NY、香港、東京、
本土など各市場がこれまでこの問題をそれほど意識してこなかったのは、
トランプ政権が保護貿易政策を強めたところで、それは有権者に対する
ポーズといった部分があり、米中貿易交渉で有利な条件を引き出すための
取引であろうと楽観視していたところがある。

 中国はもちろん、アメリカ以外のほとんどの国が保護貿易主義に反対している。
今後、各市場が下落トレンド入りしてしまうかどうかは、トランプ政権の
出方次第というしかない。

 23日のNYダウは3日続落となり、終値ベースでは2月上旬の急落時を下回って
いる。ただ、トランプ大統領は原理主義者ではない。現実主義者である以上、
有権者の反応が重要である。また、トランプ政権の成果の一つとして、
株価が上昇トレンドを形成しているということが挙げられる。トランプ政権が
株価の下落を嫌がるのであれば、その点からも保護貿易政策のごり押しは
難しくなる。

 最終的には、アメリカの有権者、世界の投資家がトランプ大統領に
保護貿易主義を留まらせることになるだろう。アメリカの民主主義、
資本主義は健全に機能するはずだ。

 世界の株価について、短期的には少々悲観的だが、長期的には自由な
貿易体制が維持されることで、長期停滞相場になるとは思っていない。
(3月24日作成、有料メルマガから一部抜粋)

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サラリーマン時代に始めた株式投資から株で勝つための独自ルールを作り上げる。
2017年、億り人に。平成24年より投資助言・代理業を取得。現在、著者自身が
実践してきた株で成功するための投資ノウハウや有望株情報を会員向けに
提供しているかたわら、ブログやコラム等の執筆活動も行う。
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